お気楽シリコンバレーライフ

シリコンバレーで働くサラリーウーマンの思うところ、いろいろ

おひとりさま行動、そして、旅先での出会いの醍醐味

今の会社に勤めて18年ほどになりますが、誰かと一緒に出張したことは片手で数えるほどしかなく、殆どの出張はおひとりさまです。先月にドイツに出張した際も、出張の目的は会社の年度初めのキックオフ的なコンファレンスだったのですが、同僚とは現地で落ち合いました。

フライトのスケジュールの関係でフランクフルトに到着したのが朝の9時。フロントに聞いてみると、やっぱり部屋の用意ができていない、と。ドイツ人の同僚達からさんざんフランクフルトはつまらない街だということを聞かされていたので、街中まで行く気はなかったのですが、時間が空いたしホテルのあるフランクフルト空港から街中まで電車ですぐなので、行ってみることにしました。フランクフルト空港は今まで散々乗り換えで来たことがあるのですが、実際に空港を出るのは初めてです。

フランクフルト空港の下の階に降りて切符の自動販売機を前に格闘(って、そんなに難しい機械ではありません)していると隣にいた女性が手伝ってくれ、行き先の駅も一緒だったので二人で連れ立って電車を待つことにしました。聞いてみると彼女もフランクフルトには出張で来ていて、その週に行われていたブックフェア(本の見本市みたいなもんですかね)に行くということです。彼女は出版社に勤めていて、ブックフェアでいくつかの本の権利を他の出版社などと交渉するということでした。

で、どこから来たの?という私の質問に返ってきた答えが「アゼルバイジャン」

正直言って、彼女の風貌からルーマニアあたりの東ヨーロッパを想定していた私の脳ミソは、最初彼女の答えを理解することができず「え?どこ?」と、聞き返してしまいました。「I’m from Azerbaijan.」「おー!私、アゼルバイジャンから来た人と初めて会うわ!」と、間抜けな返事をする私。でも、彼女はアゼルバイジャン人ではなく、出身はウズベキスタンだそうです。アゼルバイジャンの都市であるバクが気に入って、そっちのほうが住みやすいという理由でアゼルバイジャンに住んでいるんだとか。

そこらへんの地方の地理にも文化にもとっても疎い私は、非常に基本的な「アゼルバイジャンってどこにあるの?」というお馬鹿な質問から始めてしまいました。あ~、恥ずかしい。でも、聞かなきゃわかんないし、ググるより現地の人から直接聞いたほうがいろんなこと聞けるし。

彼女曰く、ウズベキスタン人である彼女はアゼルバイジャン人とは風貌が違うので、アゼルバイジャンでみんな優しくしてくれるそうです。アラブ系の顔立ちのアゼルバイジャン人に対して、ウズベキスタン人はアジアっぽい風貌があるらしく(彼女はどう見てもヨーロッパ系白人の顔してたけど)、外国人として優遇してくれるみたいなこと言ってました。私が「あなたあまりアジア人っぽくないじゃん」とつっこむと、「そう?目のあたりがアジアっぽいでしょ?」って、目の脇を吊り上げてましたけど(笑)

ウズベキスタンもアゼルバイジャンも、私にとっては旧ソビエト連邦に属していたわけで、こんな風にお互いに外国扱いするとはちょっと意外。そう言えば以前ウクライナ人の友達と話していたときも「ロシア人はみんなからの嫌われ者。僕はウクライナ人で、ロシア人じゃないよ。」って言い切ってたの思い出しました。

面白かったのは、私が日本人だって言うと「私、こんまりの大ファンなの!!!」と、いきなり近藤麻里恵さんネタ。マジですか?ドイツのフランクフルトでアゼルバイジャン人からこんまりネタを振られるとは想定外でしたね~。こんまりの本がアゼルバイジャンでも売っているのか聞いてみると、売られてはいないけど散々こんまりのことはユーチューブで見ていて、妹にも教えてあげたのよ、彼女の片付けの方法は素晴らしいわ、ですと。ちなみに、後日ドイツ人の友人とごはんを食べたときに、アゼルバイジャン人が日本人の片付け名人のこんまりって人を知っていてさ~、って言ったら「こんまり知ってる~!!」これには私も目がテン。こんまりの名前は知っていても、本を読んだことも、ビデオを見たこともない私はなんだかグローバルトレンドの波に乗り遅れている感満載になってしまったのでした。こんまり、恐るべし。

で、話は戻って、アゼルバイジャン人のマリアちゃんと私は電車の中ですっかり意気投合し、市内を巡る2階建てバスに一緒に乗ることにしました。駅前にあるマリアちゃんのホテルに彼女の荷物を預けて、二人で2階建てバス乗り場にレッツゴー。

バスに乗るチケットを買うためのチケットオフィスに向かう途中、彼女が「あ!あのお店、行きたい!」と目を輝かせて指差した先は、なんと・・・・・あの・・・・・ですね・・・大人のおもちゃのお店・・・・。彼女曰く、ウズベキスタンもアゼルバイジャンもイスラム教の国なので、こういうお店はない、と。ま、ドイツはけっこうオープンで、白昼堂々、ドッカーン(でもないか)とこういうお店が普通に他のお店を軒を並べていたりする。「へ?」と、目が点になりながらも、「別にいいよ」と、私も同意して女性二人連れ立って平日の午前中からセックス・ストアに行って来ましたよ、ええ。店の中では二人であれこれ言うこともなく、私は私で店の中を目的もなくプラプラ歩き回り、彼女は「ふーん」って感じできょろきょろしてました。5分くらい店内を冷やかした後、マリアちゃんも気がすんだのでしょう。お店の人に「Thank you」って挨拶してお店を後にしました。それにしても、興味があるのがそこかい?って感じでおもしろかったですね。

その後、二人で2階建てバスに乗ってフランクフルト市内を巡り、中心駅の近くのレストランでランチして別れました。確かにフランクフルトは他の街に比べてつまらなく、これじゃあみんなフランクフルトの悪口いうわな、っていうのが私の個人的な感想。逆にいうとつまらなさを確認できて良かったです。(注:あくまでの私個人の感想です。フランクフルト好きの人も世の中には沢山いると思うので・・・)

そして気が合う合わないって、本当に国籍とか生まれ育った環境とか、年齢とか、関係ないな~って、つくづく思いますね。今回出会ったウズベキスタン出身アゼルバイジャン在住のマリアちゃんと、日本出身アメリカ在住の私とは、育った背景も違えば、年齢もたぶんかなり違う(50代に手が届いた私と、たぶん30代前半くらいの彼女)のですが、生き方に対する考えがとても似ていて、本当に話が尽きませんでした。「強く願えばいつか必ずかなうわよ。」というPositive Thinkingのマリアちゃん。出会うことができて良かった、と、思える人でした。

ひとりで出張先をウロウロしていると、おひとりさまをつまらなく思う時が殆どなのですが、たまにこういった素晴らしい出会いを神様が用意してくれてます。そして、こうした出会いは多分おひとりさま行動だからこそ、という気もします。これぞ旅の醍醐味ですね。だから、あっちこっち行くの、やめられないんだよね~。

次はどんな人と会えるのかな?楽しみ。