お気楽シリコンバレーライフ

シリコンバレーで働くサラリーウーマンの思うところ、いろいろ

ジョブ型の採用手順と実例

今回私のチームに欠員が出て、新しく人を採用しなければならなくなりました。良い機会なので、ジョブ型の採用はこんなふうにするということを書いておきます。

 

1)  ポジションのレベル、仕事内容を決める

人を採用する責任はマネージャーにあるので、まず採用マネージャーがするのは、どの仕事をしてもらう必要があるのかを判断するということです。“何“をしてもらいたいのかを、ざっくりここで決めます。そして、その内容によってポジションのレベル(うちの会社はレベルによってお給料が違う)も決めます。これは会社によって人事体系が違うので、仕事のタイトルのみで募集をかける会社もあると思います。具体的には、品質管理の仕事なら、Quality engineer とだけ書くか、Quality engineer 2 などとレベルを入れるか、ということです。このようにアメリカの会社では、タイトルを見ればだいたいその人がどのような仕事をしているのかが、わかるようになっています。

 

2) 人事に連絡してレクイジションの準備をしてもらう
採用するポジションを決めた段階で、人事に連絡します。最近の人事では採用担当者を置いていて、一般的な人事を担当する人と採用担当(リクルーター)と職種の住み分けが人事の世界でも確立されています。なので、私が連絡するのはリクルーター。人を雇わなくならなきゃなったから、レクイジション開けて、とお願いします。

 

3) 人事と一緒にジョブディスクリプションを作成、もしくは確認する

で、ここで一番大切なのがジョブディスクリプションです。求人をかける時に、必ずジョブディスクリプションを記載するので、人事と相談するのもここです。アメリカの一般的な会社だと、既に仕事に沿ったジョブディスクリプションが汎用例として用意されています。なので、人事に汎用のジョブディスクリプションを送ってもらい、必要があれば少しそれに手を加えてレクイジションに記載してもらいます。

日本でこれからジョブ型の雇用を進めていくとしたら、職種ごとのジョブディスクリプションの凡例を作るというのは人事部の大きなプロジェクトになると思います。

 

4)人事がマネージメントの承認を受けてから、社内外に公開

レクイジションに必要な項目が揃ったら、人事がマネージメントから承認をもらい、社内外に一般公開します。うちの会社の場合は、社内の人に優先順位を与えるために(社内公募ってやつですね)、社内で一定期間公開してから、社外にも公募します。

最近はSNSを使って人を探すことも一般的になっています。私もLinkedInに求人のメッセージを載せたところ、3日ほどで2000以上のviewがありました。

 

5)人事が履歴書をスクリーニングして、採用マネージャーに転送

応募者はオンラインで履歴書を提出し、リクルーターがスクリーニングして見込みのありそうな応募者の履歴書のみを採用マネージャーに送ります。これには採用専門の人事のオンラインツールがあり、これらの手順は全てオンラインで行われます。

 

6)マネージャーが面接したい人を選んで人事に連絡。

採用マネージャーが送られてきたカバーレターと履歴書を見て、面接したいと思った候補者がいたらリクルーターに連絡して面接の手配をしてもらいます。スケジューリングや候補者との連絡は、全てリクルーターが行います。

 

7)面接

で、面接。誰と面接するのか、どのような形式で行うかはうちの会社の場合は採用マネージャーが決めています。私の場合は、私の部下の人達も候補者と面接するように手配します。あと、関わりの深い他部署のマネージャーにお願いして、一緒に仕事するのに適しているかを面接してもらうこともあります。実務で一緒に働くのは彼らなので、候補者を気にいるか、気に入らないか、彼らの意見も重要視します。友人から聞くところによると、グーグルやアップルは10回とか20回面接があると聞きます。特にグーグルはチームで決める傾向が強いようなので、採用されてすぐに「候補者と面接して」とお願いされて驚いたとグーグルに転職した友人が言ってました。

 

9)  候補者を決定し、オファーを出す

面接の後、私の場合はチームの人達の意見を聞き、誰にオファーを出すのかを決定します。そして人事に連絡して、給与がいくらでオファーを出すのかを決め、人事から候補者に連絡が行きます。

 

10)  給与などの条件交渉

人事から候補者にオファーがあると、給与交渉をされる場合があります。これは非常に一般的なことであり、リクルーターはマネージャーと一緒に最終的なオファー額をどうするかを決めます。

 

11)  オファーを受諾

候補者がオファーを受諾し、契約にサインした段階で採用決定。

 

12)  採用

採用決定後、仕事を始める日などの段取りを人事を通して手配します。

 

アメリカの雇用は基本的にジョブ型なので、どこの会社でも採用手順は似たり寄ったりだと思います。日本のメンバーシップ採用モデルから、ジョブ型採用モデルに移行するのに人事の人は忙しくなりそうですね。