お気楽シリコンバレーライフ

シリコンバレーで働くサラリーウーマンの思うところ、いろいろ

Book smart vs. Street smart

英語でBook SmartとStreet Smartという言葉があります。Book Smartは、勉強の良くできる優等生、みたいな感じ。成績がオール5で、偏差値の高い学校にすんなり合格できちゃう人達。Street Smartは実際の生活で知恵を働かせ、世の中をうまく渡っていく能力、とでも言いましょうかね。

世界中から優等生が集まってくるシリコン・バレーの、しかも医療機器の研究開発部なんかで働いていると、とんでもない学歴の人達が沢山います。そして、Book Smartだらけの博士号持ちだらけです。理科系の博士号持ちでウォートンのMBAとった人とか、中国で最難関の清華大学出身とか。日本語を流暢に話す中国人の同僚に、どこで日本語を習ったの?と何気なく聞いたら「東京大学で電子工学の博士号をとりました。」ですと。大変失礼いたしました。

そんな優等生たちに囲まれて日々過ごしているふっつーのおばちゃんな私ですが、つくづく思うのは仕事で出世する能力と、学校で良い点を取る能力は、当たり前だけど全然違うな、ということ。

アメリカで働いていて思うことは、出世していく上でのリーダーシップの重要さ。日本でもそうかもしれないけれど、意見の違う人達をまとめてチームとして機能させ、仕事の成果を出していくにはリーダーシップは必要不可欠な能力です。が、しかし、リーダーシップというのは簡単に身につくもんじゃないんですね、残念ながら。しかもアメリカ、いわゆるディバーシティ(多様性)の総本山。みんな価値観はそれぞれだし、日本人の常識は他の国の人にとっては非常識、というケースの多々あります。上司の言うことは素直に聞くのが当然という国から来た人もいれば、気に入らないことは反論して当然、という国から来た人もいる。

以前韓国人の役員がアメリカに赴任中に、金曜の午後にミーティングを入れたら部下からディクライン(”拒否”ですな)の返答が来て、かなりショックを受けたという話をしてくれました。ま、私からすれば「金曜の午後に会議なんて入れるか?」なわけですが、韓国の序列文化に慣れている彼にとってはかなりショックな体験だったようです。で、当然ながらあまりこの人アメリカでは受けは良くありませんでした。でも、韓国に戻ってからはみんなから尊敬される良きリーダーとして活躍されています。この例でわかるように、アメリカで認められて出世していくには、違う文化を理解し柔軟性を持って多様性を認めながらチームをまとめていく力が求められる、ということがわかってもらえると思います。

これが成績優秀なBook Smart君たち、なかなかうまいこと立ち回れない。思うんですけど、彼ら周囲で自分が一番頭がいいっていう状況に慣れてるんでしょうね。強いチームを作るには何が必要かというと、当然トップクラスのプレーヤーを部下に迎え入れることです。と、いうことは結果的にいちばんできが良くないのはリーダーだった、ということも。でもね、私はそれが強いチームの秘訣だと思うんですよね。できる部下を揃えてるんだから、上司までキレキレじゃなくても良いんじゃないのか、と。部下がのびのびと仕事ができる環境を整えて、自分はチアリーダーにまわるというのもリーダーシップだと思います。Street Smartな人達はそこらへんうまいことやってますね。そしてチームで成果をだして出世していく。ま、全員が全員、そうだというわけではありませんが。

私は明らかにBook Smartではないので、Street Smartの部類に厚かましいけど入れてもらいます(笑)Street Smartの特典として、Book Smartな人達に囲まれて働きながら、頭の良い人たちにあれやこれやいちゃもんつけながら仕事できてます。幸運もStreet Smartの条件のひとつに入るのかしら。

ほいじゃ、また次回!