お気楽シリコンバレーライフ

シリコンバレーで働くサラリーウーマンの思うところ、いろいろ

VUCAって一体何?そしてハーバード・ビジネス・レビューの解決策が笑える

最近見かけるVUCAという言葉。MBAの授業でも出てきたな~、これ。

もともとは軍隊用語らしいですね。冷戦後(若い人知ってるのかな?アメリカとソ連が睨み合っていた時代。ドイツが東と西に分かれていた時代。)の世界を表現するのに使われたのが由来みたいです。

そして、このVUCAブッカ~なコンセプトが、グローバルが進んで混沌としたビジネスの世界で経営戦略を企てるうえでの所謂バズ・ワード、ま、流行語みたいなもんかな、に昇格したみたいで。おめでとうございます。

ちなみにVUCAはブカと発音します。で、4つの単語の頭文字をとって、VUCA。

V=Volatility

U=Uncertainty

C=Complexity

A=Ambiguity

です。物事が常に動いて安定してなくて将来が見えず、しかも物事が複雑で混沌としている。ま、ひと言で言うと、「わけわかんね~!」でしょうか。現代の企業戦士たちはこんなにシビアな戦場で戦っているわけです。そりゃあみんな疲れるわな。

これ、HBRのVUCAに関する記事です。「あなたにとってVUCAとは?」で、HBRらしくマトリックスにまとめられてます。わかりやすっ!って、こんなにVUCAを単純化して良いんだろうか。ま、HBRだからいいんでしょうね。しっかし無責任なまでに単純な答えだな、これ。

hbr.org

https://hbr.org/resources/images/article_assets/hbr/1401/F1401C_A_LG.gif

Volatilityへのアプローチが一番笑えますね。

Volatilityの状態は、課題は思いがけず降りかかるか状況が安定しないこと。そして関わる期限は不明。しかし課題自体は難しかったり理解しがたいことはない。課題解決へ必要な知識は容易に得られる、ですと。

例としては天災後の値段の高騰によりサプライヤーの不足。

で、これに対する対応が、在庫を増やすことと余剰人員を雇っておくこと。マジかよ(笑)この解決策は高くつくが(そりゃそうや)投資がリスクをカバーする、って。あのね~、本気で言ってる?それが簡単にできないからいろんな会社が経営に四苦八苦してるんじゃない。大きな会社だったら可能かもしれないけど、今はどこの会社もキャッシュフローを睨みながらの経営だから、いざと言う時のために在庫を増やしましょうなんて言う勇気のある人はなかなかいないでしょ。余剰人員なんてありえない。

Complexityの例はけっこううちの会社にもあてはまるかも。いろんな国で事業を展開していて、国ごとの法律があったり文化の違いがあったりして本当にややこしい。で、解決策はというとスペシャリストを増やし、複雑さに対応できるだけの人材を育成しましょう、と。は~・・・・・(ため息)。ま、正論と言えば正論かな。

Ambiguityの解決策は、とりあえず実験してどうなるか見てみましょう。Uncertaintyには情報に対して投資しましょう、と。

なんか全部超あったりまえじゃん、な答えだな~。今をときめく、と言うか、頭の良い人達がよってたかって眉間に皺寄せて議論しているVUCAに対する解決方法がこんなに単純でいいんかい?

でも、一歩下がって考えてみると、複雑なこと、わけわかんないことへのアプローチなんてこんなもんなのかもしれません。とりあえず情報を集めて知識武装し、リスクに備えて蓄えて、とりあえず何かやってみて失敗から学んでいく。全ての基本がVUCAへの対応にも当てはまります。

なんか最初は笑っちゃったHBRの記事だけど、単純に見えて実は深いのかもしれない。

 

シリコンバレーの不動産価格

以前シリコンバレーの住みやすさを書きましたが、唯一の難点は、ズバリ、家がめっちゃ高い。買うのも高いけど、借りるのも高い。

アメリカにはZillowというウェブサイトがあって、住みたいな~、と思うエリアとか家があったらそこの住所を入れると家の値段を調べることができます。

で、トレンドの分析とかもしてるんだけど、グーグルとかアップルのあるサンタクララ郡、平均的な家の価格、1億越えてます。(汗)

www.zillow.comそしてお隣のサンマテオ郡。オラクルとかセールスフォースとかありますね。サンタクララ郡よりもちょい高い。(またまた汗)

www.zillow.com

2008年のリーマンショック後、2012年くらいまでは不動産価格は横ばいだったのですが、それ以降は上がる一方。話に聞くところによると、供給が需要に全然追いついてないそうです。グーグルもアップルも拡大に拡大を続け、他の国からもどんどん大きな会社がシリコンバレーにR&Dの拠点を設置しています。サムソンもでっかいオフィスをサンノゼあたりに構えたし、日立も7000人規模のオフィスをシリコンバレーに置くとか日経で読みました。シリコンバレーにはいろんな国からいろんな人が来て働いてるけど、最近目に付くのは他州から来た人の車のナンバープレート。最近は他の州からもいっぱい転職してきてるんだな~、と実感します。

売りに出される家の数が家を買いたい人よりも全然少ないらしいので、圧倒的な売り手市場。家が売りに出されるとあっと言う間に売れ、そして何人もの買い手がより高いオファーを出すので(競売状態)売りに出したときにつけていた値段よりもよっぽど高く売れることがよくあります。

最近話題になったのはこの家。売りに出された時の値段は100円計算で1億7千万。で、買いたいという人がいっぱいいて、結局売った値段は約2億5千万。100円計算でも8千万も高く売れたことに。8千万ですよ、8千万!!どういうこと!!??さすがにこの新聞記事もRidiculouって言ってますけどね。

www.mercurynews.com

買うのも馬鹿高いですけど、借りるのも高いです。最近うちの近所にアパート(日本ではマンションって言うのかな)が建てられていて、好奇心から家賃を調べてみたらワンベッドルームでなんと3000ドル以上!まじ?!!

以前知り合いの不動産のエージェントに、こんな馬鹿高い物件どんな人が買うの?って聞いたら中国からの投資家か(これは最近中国政府が外貨持ち出しに制限をかけたので下火になりました)、プロフェッショナルの共働きの夫婦。ま、エンジニアの夫婦なら世帯年収が30万ドルからうまくすれば50万ドルくらいいくだろうから買えるのかもしれませんね。マウンテンビュー(グーグル本社のある町)に新築で日本円で約2億ちょいくらいの値段の家を買った友達がいますが、彼らは夫婦共にグーグル勤務。そして以前住んでいたコンドミニアム(ローン完済済み)を貸しに出して、家賃収入もあります。

でも悲しいことに2億円のおうちでも、ふっつーのおうちです。全然豪邸でもなんでもない。そして1億円くらいの家だと、どこかしら修繕しなければいけない箇所があるのが普通です。なんかシリコンバレーにいると、金銭感覚が狂ってくるな~。

私はラッキーなことに値段が暴騰する前に小さなコンドミニアムを購入。そこで地味~に不動産の値段が上がるのを横目でみながら毎日節約生活を営んでいます。(笑)

 

 

 

日本とアメリカの人事制度の違い

まず最初にお断り。日本とアメリカなんて大風呂敷感満載のタイトルではありますが、これは私が日本で働いたことのある会社(一社)とアメリカで働いたことのある会社(これまた一社のみ)の比較です。でもまあ、一般的にはこんなもんだろうな~、みたいな感じはつかんでもらえると思います。

で、比較するのは採用、異動、人事評価の3つにしときます。

採用

私の経験では、日本とアメリカで一番違うのはここですかね。日本で新卒で就職したときは、人事の担当者の人との面接があり、採用後に配属が決められました。一時転職しようかと考えた時期があり、他社での面接も受けたのですが、やっぱり面接は人事部の人とでした。

アメリカでの採用権限は人事ではなくマネージャーにあります。少なくともうちの会社では。私の部署で欠員ができると、私が面接をして私が採用を決めます。

じゃ、人事は何をするのかというと、採用のお手伝い。まず私が人事に、今度欠員ができたんだけど、求人のお知らせ出してくれる?と連絡します。そうすると、どの職種のどのレベルの人を探しているのかを聞かれ、それに合ったJob Description(具体的な仕事の内容やら仕事に必要な経験やらをかいたもの)を探してくれて、求人広告を社内および社外に出してくれます。求人広告を見て応募してきてくれた人の履歴書を見るのはマネージャーの私の仕事。履歴書の段階で、会ってみたいと思った人材がいたら、人事に連絡して面接の手配をしてもらいます。誰が面接をするのかを決めるのも私です。別に私一人が面接をして決めても良いのですが、他の人の意見も聞きたい時には信頼できる同僚や部下に面接してもらい、彼らの意見を聞くこともありますが、最終的には私が面接して、私が採用を決めます。で、採用したい人がいたら、「この人に仕事をオファーしてください。」と人事部の担当者に連絡。で、人事の担当者が私の選んだ人の経歴やら仕事のレベルやらを吟味して、お給料をどれくらい払えば良いのかを調べてくれ、「これでオファーしますけど、良いですね。」と私との合意をとって、応募してくれた人にオファーの連絡を入れます。また、応募してきてくれた人から私に直接「採用の件はどうなっていますか?」と連絡が入ることがあるのですが、そうした問い合わせに答え、「今回は残念ながら不採用です。」という連絡も人事がやってくれます。

人事部が勝手に採用して、勝手に配属してくるわけではないので、入社してくる人に対して文句は言えませんね。私が採用したわけですから。

異動

日本だと本人の希望とはあまり関係なく異動があると聞きますし、以前勤めていた会社でも「あの人がなぜこの部署に?」と、本人も「聞いてないよ。」的な異動もありました。今のところアメリカでは聞いたことないですね。部署の異動は基本的には本人の希望、そして社内公募、もしくは特殊な事情。

特殊な事情とはどういうことかと言うと、今就いている仕事がなくなっちゃう、というときレイオフの代わりに、「この部署のこの仕事に空きがあるからどう?」というケース。または、この人のパフォーマンスはこの部署ではイマイチだけど、あっちの部署ならなんとかなるかも、という時も「あっちの部署の仕事した方が良いんじゃない?」ともちかけるケースもあります。どちらにしても、新しい部署に異動したくない場合は、会社をやめることになります。

私は今の会社でいくつか職種、そして部署を変えましたが、ひとつを除いて後は全て社内公募です。ひとつを除いての時は、役員秘書の仕事をクビになって他の部署の仕事をオファーされたとき(笑)いや~、秘書には本当に向いてませんでした。

社内公募の場合も、もちろん採用マネージャーとの面接があり、候補者も何人かいるので採用されない場合もあります。採用されなかった場合には、現在いるポジションで継続して働き、次に興味のそそられるポジションが出てきたらまた応募する、となります。社員が他の仕事に応募することに、上司はあまり抵抗しませんね。私の場合も歴代の上司達は新しい仕事にチャレンジすることを喜んでくれ、そして応援してくれ、気持ちよく送り出してくれました。

人事評価

私は日本では管理職したことないので、比べる材料があんまりないんですよ。すみません。なもんで、今働いている会社のこと書きます。

うちの会社の場合、年度初めに今年度の目標!というのを立てさせられます。で、年度末になると社員全員が上司と面談し、今年度はこんなことしました、あんなことしました。改善点はこれです。次はあの部署に行って、こんな仕事したいです。世界中どこでも異動オッケーです!みたいなことを話します。

で、各部署ごとにラウンドテーブルというディレクターレベルでの人事考課の場が設けられ、人事部のマネージャーがファシリテーターとなって社員の人事考課を行い、評価の良し悪し、そしてボーナスの割合を決めていきます。

ちなみにボーナスは12月に支払われ、年一回。会社によっては一部の人(一定の職務以上)しかボーナスを受け取る資格がありません。私のいる部署も以前はボーナスなしの社員がいたのですが、数年前に改定があり、全員がなんらかのボーナスを受け取れることになりました。で、仕事のランクによってどれくらいもらえるかが全然違います。例を挙げますと、若い社員だと年収の5パーセントなのが役員クラスだと年収の30パーセントとか。この%っていうのがミソ。だって若い社員だと年収も低い。低い年収に低い%、例えば5万ドルX5%だとボーナスは2500ドル。役員だと、まあ年収が30万ドルとして、30万X30%でボーナスは9万ドル。全然違うでしょ(笑)人事評価のミーティングでは、このボーナスを、これまた何割支払うのか、ということを決めるのです。例に出した年収5万ドルのA君の基本ボーナスは2500ドル。でも、A君、今年は滅茶苦茶頑張って仕事して、会社に大貢献。じゃあボーナス150%あげよう、ということでA君のボーナスは2500X150%となり、A君は3750ドルのボーナスをもらえるのです。そしてその逆もあり。こいつイマイチ、となった場合にはボーナス半額、とかね。

そして必ず話し合うのは誰が次の世代を背負える人材か、誰が能力があるか、幹部候補生として育成すべきは誰か、ということ。そして、こいつはイケルとなった人には様々な幹部向けの研修の機会が与えられ、大抜擢されることもあります。これを目の当たりにして思ったことは、アメリカは機会平等の国かもしれないけれど、結果は滅茶苦茶不平等だということ。そして、それをある程度納得して受け入れる土壌があるということです。だってさ~、普通に仕事してるけどたいして目立たない社員達は、人事考課の話題にも上らなかったりするんだよ。重点的に議論されるのは誰が優れているかと、誰が落ちこぼれているか。優れている人には研修やキャリアパスの用意を、落ちこぼれているひとにはパフォーマンス向上の施策、もしくは退職を促す手順。で、その他大勢は、今年もよくできました。ボーナス100%あげるね。で終わりです。

日本でも横並びの終身雇用型モデルが崩れてきているみたいですが、将来の人事制度のモデルってどんな風になるんでしょうね。たぶんアメリカほど「できる人が全部持ってく」みたいなモデルにはならないと思うんですが。日本人は優しいから。

さてと、来週の金曜日のラウンド・テーブルに向けて、私も準備しなきゃ。

女性が管理職になるべき5つの理由

アメリカは今日から秋らしい。昨日の夜シアトルから帰って来たのですが、サンフランシスコ空港の外に出て「さむッ!!!」今日はシリコンバレー、秋晴れのとっても良い天気だったんだけど、空気はピリッとしていてすっかり秋の雰囲気。いいな~。この季節、大好きです。

シアトルも先週まではけっこう暑かったらしいけど、月曜日の夜中(っつーか、飛行機が遅れてシアトル着いたの午前1時)着いたときにはすっかり寒かったです。

以前書いたかもしれないけど、うちの会社は9月が年度末。シアトルのオフィスには私の部署で働いてくれている部下の男性が一人いて、今回の出張の主な目的は彼の人事考課。今年度の仕事ぶりを振り返ってもらい彼の視点からの話を聞き、来週行われるディレクターレベルでのラウンド・テーブル・ディスカッションの参考にします。

ほいで、今回は管理職になって良かった事について。日本の女性は管理職になりたがらない傾向があるらしいけど、個人的な意見としては機会があったら管理職になった方が良いと思います。

そこで、私が女性も管理職にどんどんなれば良いと思う理由を私の経験から5つほど。

理由その1 自分の好きなように仕事が進められる

私が管理職になって一番良かったことは自分の好きなように仕事が進められることです。もちろん上司がいるので、上司との折り合いはつけなければいけませんが、ある程度権限を与えられているので自分の価値観を前に出して仕事をすることができます。誰にどのように仕事をふるのか、ミーティングをどのタイミングで入れるのか、優先順位をどのようにつけるのか、ほとんどは自分の都合で決められます。なので時間の融通もつけやすい。自分が好きなように、というか、チームとの折り合いをつけながらある程度自分の価値観で仕事を進めることができるので、管理職になって本当に仕事が楽になりました。

理由その2 同じ事を言っても受け止められ方が違う(意見が通りやすい)

ディレクターとして新しい職場で働き始めた時新鮮だったのは、同じことを言っても受け入れられる頻度が違うということです。平社員でいたときは私が正しいと思ったことを言っても、真剣に受け止めてくれる人がいたりいなかったり、ひどいときには無視されたりしたのですが、ディレクターという肩書きで物を言うと、とりあえず私の言うことを聞いてくれる。もちろん筋道が通ってないと反発くらいますけど、自分の意見が通りやすくなったのはありがたかったです。とくに理不尽な理屈を我が物顔で振り回すマネージャーに「それ違うんじゃない?」って対等、もしくは上の立場から言えることは大きいです。

理由その3 今まで行けなかった会合に行くことができる

ディレクターになってからは、直接経営に関する会議や将来の幹部候補生対象のトレーニングなどに参加する機会が増えました。本社から来る役員を招待してのディナーなどにも参加し、親交を深めることができます。また、うちの会社はグローバルで展開している会社なので、アメリカだけではなく他の地域、アジアやヨーロッパなどで行われる会合に参加できる機会も与えられます。社内だけでなく社外でも、CFO対象のセミナーなどに無料で招待されたりすることがあります。こうした会合はネットワークを広げる上でも役に立ちます。

理由その4 今まで会えなかった人達に会うことができる

今まで行けなかった会合に行くことができるようになると、今までは直接会えなかったお偉いさん達にも比較的容易に会うことができたりします。以前本社から来たCEOとCFOを囲んでのディナーがあり、なんと偶然にも私の右にCEO、左にCFOが座るということがありました。CFOに直接どのような経緯でCFO職についたのか、などという話を聞くことができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。唯一の後悔はCEO,CFOに挟まれた状態でセルフィーを撮らなかったこと!一生の不覚でした。

理由その5 人の成長に貢献ができる

一般的な女性の傾向として、自分のためだけに働くのではなく人のために役立ちたい、というものがあります。管理職になるとこれができます。その昔、以前勤めていた会社の大先輩と飲んでいたときの話。彼が言うには、「僕はサラリーマンとしては比較的幸せな人生だったけど、唯一後悔していることは頑張って出世しなかったこと。今、才能があるのにくすぶっている若手を見て、自分に権限があったら引き立ててあげることができたのに。それができない自分がもどかしい。彼らののために、もっと自分が頑張って出世しておけば良かった。そうしたら彼らを助けることができたのに。それができないのが唯一の後悔だ。」と、その大先輩がおっしゃっていました。この出来事があったのは20年ほど前ですが、私はその時の会話を鮮明に覚えています。そして、この会話が私が出世したいと思う原動力のひとつとなりました。そして、自分のチームを持って働く今、それが実現できています。例えば、他部署に勤めていた非常に実力のある女性が上司とソリが合わなくてやめるということを聞いた時、たまたま空いていた私の部署のポジションを彼女にオファーすることで彼女を引き止めることができました。そして現在、彼女は将来の幹部候補となるまでに成長しました。ポテンシャルのある人に機会を与え、輝く場を用意することは管理職にしかできないことです。そして人の育成は本当にやって良かった、と思える充実感のある仕事です。女性は人を育成することに関しては男性よりも向いている人が多いと思いますし、子育ての経験が生かせる仕事であると思います。

お給料が上がることももちろん管理職になって良いことだったりするのですが、私にとってはこれらの理由が管理職になることを女性に勧める理由です。

私にできるかしら、と迷っている人には「とりあえずやってみれば?私にできたのなら、あなたにもできるわよ。」とエールを送りたいです。

管理職になること、お勧めです。

ダイバーシティ社会の良いところ

私はアメリカはカリフォルニアのシリコンバレーと言われるところに住み、そしてドイツに本社のある会社で働いています。ほんでもってアメリカで働き始めて20年近くになりますが、ずーーーーーーーーっと、職場で日本人一人だけっていう環境でございます。

一緒に働いている同僚はそれこそ国籍、出身地など様々で、ヨーロッパ、南アメリカ、アジア、それはそれは聞いたこともないような国の出身者もいます。

で、ダイバーシティな毎日をずっと過ごしている私ですが、ダイバーシティ社会の良さのひとつは日本の良さを再確認できることでしょうか。私は日本で生まれ育ち30代前半まで過ごして、日本は平和で安全で豊かで清潔で風光明媚で食べ物がおいしくて(もういい!!)良い国だということはわかってましたけど、いろんな人の話聞くといかに日本人が恵まれているのかがよく分かります。

部下のキューバ人女性:彼女は16歳の時に政治難民として逃れてきた両親と共にアメリカに来ました。アメリカに来て感動したことは、Doveというブランドの石鹸の匂い。Doveの石鹸を初めて使い、「なんて良い匂いなんだろう!!!」と心の底から感動したそうです。私は日頃、自分の生い立ちが貧乏だったな~、と「私って可哀相」的に思っていたのですが、花王の良い匂いの石鹸くらいは買えたぜ!!やっぱり日本は豊かなんだな、って小さなことだけど思いました。

同僚のサラエボ人:彼はサラエボからの難民としてアメリカに来ました。彼の話によると、住んでいた街が戦場となってしまい、ある日戦闘が始まって寝室に家族と弾丸をよけるために伏せていたにもかかわらず、横にいたお父さんが銃撃にあってしまい亡くなったそうです。平和な日本では考えられないできごとだけど、こういった経験をしている人達は今も世界のどこかにいるのです。

同級生だったウクライナ人:旧ソ連の支配下で育った彼は、西側諸国は悪だという教育を受けたそうです。でも親戚の女性がカナダに住んでおり、写真を見せてもらうとみんな綺麗な格好をしているし、生活も豊かそう。で、機会をみてウクライナを逃れ、カナダに着いたそうですが不法滞在ということで国外退去の憂き目に。そして、なんと歩いてアメリカに逃れてきたらしいです。(ことの詳細はあんまり根掘り葉掘り聞けませんでしたけど。)彼の話を聞いた時、思わず「うわ~!すごいドラマチックな人生だね。私の人生なんてあなたの話に比べたら本当に退屈だわ。」と言うと、苦笑して「いや、あんまり良い経験じゃあなかったよ。ホームレスシェルターに入ったりしてさ。」って呟いてました。それ以上はあまり多くを語りたがりませんでした。

こういう話を聞くと、「私、本当に日本に生まれて良かった~。ラッキーだった~。」って心から思います。小さなことで不平不満を言っている日本人に、この人達を会わせてあげたい!

で、もうひとつダイバーシティ社会の良いところは、いろんな経歴を持つ人達の集まりなので柔軟性があり、セカンド・チャンスがある、ということです。

部下のキューバ人の女性は、アメリカに移住後大学に進学し、うちの会社に将来の管理職候補として就職しました。サラエボ人の同僚は、工場勤務をしながら大学に通い、今ではエンジニアとして働いています。ウクライナ人の同僚はCPAの資格をとって転職を果たし、年収も2倍になり家族とバケーションに行けるようになったよ、との嬉しい近況報告を最近メールでくれました。

なんか良いよな~、こういうアメリカン・ドリーム。

そして平和で安全な日本で生まれ育った幸運に感謝です。

 

アンコンシャスバイアスの研修受けました

うちの会社には社員有志から成るダイバーシティーグループがいくつかありまして、実は私は女性のグループのチェア(グループリーダー)をしております。

で、最近そのグループ主催でアンコンシャス・バイアス、無意識のうちに人が行っている差別、というテーマでプロのトレーナーを招待して、希望者に講演、そして研修をしました。(社内で開催の通知して、希望者のみ参加。)

テーマはアンコンシャス・バイアスなので女性に対する差別だけではなく、人種、年齢なども講演の対象なのですが、やっぱり女性グループ主催の研修だったので、職場での女性に対して無意識に男性社員が行っている扱いについても触れていました。そして女性達の意識の持ち方についても。←ここが大切。

その中で印象的だったのは、今まで何度か本で読んだり講演で聞いたりしていたことが、やはり繰り返して講演内容に入っていたことです。それは女性は自分自身に完璧を求めすぎるということ。シェリル・サンドバーグのLean Inにも書かれていますが、女性は100点を取ってやっと合格点を自分に与える傾向があります。対して男性は70点でも「俺、すごいじゃん。」これは仕事においても傾向は同じで、求人広告を出すと男性は半分ぐらい求人広告に書いてある条件を満たしていると応募するけれども、女性は全ての条件を満たしていないと応募しないとか。実は私もその傾向がおおいにあります。

後日、私の上司(ドイツ人男性。性格な年齢は知らないけど、まだ若くてたぶん40歳いくかいかないか。)とこの研修の話をしたのですが、彼も男性の部下と話すと、まったく実力の伴っていない人でも「僕ならこのチームを率いることができます!」と言う。上司曰く「おまえをリーダーにしたらチームつぶれるよ」(本音)「もう少しこういう面で経験をつんでからね。」(実際のフィードバック)だそうです。で、対照的なのは女性社員で、チームを率いるという話になると「私はもう少し経験をつんだほうが。」と、上司から見て十分に実力のある女性が言うと。で、殆どがこういうパターンだから、女性はもっと自信をもっていろんなことにチャレンジしたほうが良いと言ってました。(偉い!)そしてこういった男女差の傾向は国を問わないみたいで、おもしろいですよね。

そして先日嬉しい出来事が。

うちの会社は9月が年度末で10月から新しい年度が始まります。なので、今は今年度の人事評価の真っ最中。で、私も部下の一人一人と面談をして、彼らのこれからの希望、どのように働いていきたいのか、どんな仕事をしたいのかを聞いています。で、勤続20年ほどになる非常に優秀な女性の部下と面談をしたところ、管理職になる欲が出てきたと。去年までは管理職になる希望はない、このまま専門職で勤めたい、ということだったのですが、先日の講演を聴いて、管理職になるのに完璧である必要はない、今も同僚達が彼女のアドバイスを求めてくる、自分にもリーダーになる素質がある、ということを気付いたようです。

上司としてこんなにうれしいことはありません!!!(涙)

そして私も後継者育成したよ~、って言えるし。(これ、管理職としてポイント高いでしょ。)こうして部下が育ってくれるのってほんと、管理職冥利につきますね。そして、この研修、やって良かった~。ダイバーシティ活動がビジネスに本当に役立つのかって疑っている人には、この例をシェアしてさしあげたい。経験があり、やる気があり、そして仕事のできる人材をつなぎとめておくことは、会社が繁栄するためには不可欠です。ビジネスは人なしでは成り立ちません。今回の出来事はダイバーシティ活動が社員のやる気向上に、人材つなぎとめに、そして私の後継者育成プランに(これはたまたまだけど)役立った非常に良い例だと思います。

やっぱりこうした啓蒙活動って馬鹿にするもんじゃありませんね。いや~、私は本当にうれしいです。

以上!

CFO向けのコンファレンスに行って来ました

昨日、今日と、サンノゼでやってたCFO向けのコンファレンスに行って来ました。

www.q1productions.com

私はCFOじゃないんですけど、一応シニア・ディレクターの肩書きで働いているので、こういうイベントにも声がかかったりするのです。

このコンファレンスは医療関係の会社(製薬会社とか、医療機器関連の会社)のCFOやらディレクターレベルの人達が呼ばれて、いろんなテーマについて話し合う、というものでした。

因みにテーマはこんな感じです。

Leading the coompany integration post-merger or acquisition.医療関連の会社は吸収合併とか多いからね~。M&A後の処理って結構大変だし、合併後業績が悪化することもあるのでうまいこと移行させる腕がマネージメントには必要。

Finance as a Value-Added Business Partner. 財務関連部署の社員がどのように活躍できるか、ですね。

Changing a company culture to prioritize spending & increase accountability. 財務関連でない人達、例えば研究開発とかマーケティングの人達にいかにコスト意識を持ってもらえるか。

Building &Maintaining a high performance finance team. どのようにしてパフォーマンスの良いチームを率いていくか。

Implementing a new budgeting &Forecasting solution. 予算を組むプロセスとかのお話。うちの会社、予算作成に4ヶ月くらいかけるので、プランニング期間長すぎ!と思っていたのですが、6ヶ月かけるという強者に会いました。

 

で、家に帰ってお茶啜りながら思ったことは「抱える問題はみんな同じだな。」ということ。うちの会社って本当になってない!って思いがちですが、他社の同じような仕事をしている人達と話すと「あ、一緒じゃん。」って思って、気が楽になりました。(笑)

そして一番の問題はやっぱりハードではなくてソフトなんですよね。プロセスを設定するとか、数字管理のツールを導入するとかは、はっきり言って簡単です。手伝ってくれるコンサルタントも沢山いるし。でも、リーダーシップ、チームワーク、権限委譲(Enpowerment)、責任をきちんととる(Accountability)などなど、ソフトの部分が非常に難しい。どうやって個人個人の力を引き出して1+1を2ではなく3に、いや4にしていくのか。ゴールの設定はどうすれば良いのか。コミュニケーションを効果的に行うには。議論の半分以上はこうしたソフトの部分に触れるものでした。

あと予算を組んだり数字を管理をしていく上での苦労も良く似てます。せっかく苦労して組んだ予算も、マーケットの状況が激変してあっと言う間に意味のある数字ではなくなってしまったり、他部署の人達に予算がいくら必要かきちんと計画するように言っても適当な数字しかあげてこないとか。ファイナンス関連部門で働く私達が遭遇する「あるある」がいっぱいで、「あ~、うちだけじゃなかった!」と、変な安心感に包まれる私。(笑)

問題や解決方法は会社のサイズによって違うんだな~、ということも今回学習しました。やっぱり小さな会社は資金がないぶん苦労も多いですね。スタートアップの会社とかやはり最も注意を払うのはキャッシュフロー。ま、これはうちの会社も同じですが、今月、いや今年キャッシュネガティブになったとしても親会社がキャッシュいっぱい持ってるので、「やば、来年はキャッシュポジティブにするように頑張りマース!」でなんとかなっちゃいます。(本当はかなりシビアにどうすんねん!と追求されますが、責められるのは私ではなく上司なんで・・・)私はかなり大きな会社に勤めているので、他の人達の話を聞いて、私達がいかに恵まれているのかがよくわかりました。やっぱ寄らば大樹の陰だな~。

 

今回一番ためになったのは、ファシリテーターとして参加していた、最近引退したばかりだという元CFOのお話。なぜ会社合併がうまくいかないかという原因として、文化の違いが一番大きい、と。「What (何)」をすれば良いかはみんなわかっているんです。「How(どのように)」で、失敗しちゃう。

A社とB社が合併したとします。A社の社風はみんなで意見をすり合わせて、全員が意思決定に関わり合意するという文化。一方のB社は社長の鶴の一声で、「この方針でいくから。明日から始めるよ。」で、みんなが右向け右で動き出す文化。A社の人間はB社の意思決定方法だと不満が溜まるし、B社の人間はA社のやり方はまだるっこしくてしょうがない。で、この社風、いわゆる文化の違いを埋められなくて合併は失敗するんだ、そうです。とても納得のいく説明でした。

 

ちなみにこのコンファレンス、料金はタダ。主催会社がスポンサーを探してきて、参加者はスポンサーの話を聞く時間を与えられるのです。ようするにセールスですね。でも、業務内容とかサービスの内容を説明されるだけで押し売りではないし、実際に業務に役立ちそうなツールとかコンサルティングとかなので、名刺をもらって帰ってきました。

日本の製薬会社も二社ほど来てました。参天製薬と第一製薬。二人とも日本人ではなく、参天製薬はスイス人で第一製薬はアメリカ人。参天製薬はなんとアメリカに上陸して25年。「マーケットシェアは?」って聞いたら「ゼロ」(爆)25年何しとってん????「頑張ってね」って言っておきました。彼、ハーバードのMBAらしいので、参天製薬もちょっとアメリカ市場参加に本気出してるのかも。頑張ってくださいね~。

それにしてもさ〜、やっぱファインス関連の人達って内向的な性格の人が多い。統計取ると、7割強が内向的とか。このコンファレンスも例外ではなく、内向的な人が7割くらい。な、もんで沈黙の数分があったり。私一人でベラベラ喋るのも気がひけるし、誰か何か言ってよ!な場面もありました。これがCMO(チーフマーケティングオフィサー)の集まりとかだと逆に凄いうるさいんだろうな。